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14件の記録
あむ@Petrichor2025年9月18日読み終わった夢もドラマもない、ただただ、現実。 それでも私はこの物語をつまらないとは思わなかったし、他者との境界線に悩む私が今、読むべき作品だったと思う。 以下ネタバレ含みます ----------------------------- 苦しいとき、どうして人は他人をあてにするのだろう。 どうして他人が自分を苦しみから逃がしてくれると思うのだろう。 人間に傷つけられて心を閉ざしても、人間はまた人間を求める。 永遠にも感じられるような愛のあっけない終わりと、それが引き起こす執着、そしてそれに囚われる人間の現実を、1冊を通じてただただわからせられるような、そんな読書体験だった。 私はこの物語を読んでそんな人間生活に絶望し、そしてまた、人間を頼らずにはいられないのだろうと思った。 たった1人で乗り越えて、たった1人で生涯を全うできる強さがあればどれだけいいかと思う。 そんな生涯を送れたとき、私はもっと他者と関わればよかったと後悔するのだろうか。 それもまた、わからなかった。

橘海月@amaretto3192024年4月3日読み終わった「倦んでいる」という言葉を初めて知ったのは、江國香織の小説だった。まだ小学生の主人公が、母親が放つその言葉の意味を計り知れずにいたように、若い私にもピンとこなかった。今ならその感覚もよくわかるし、これはそんな倦んでいる人達を描いた物語だ。 富士山が見える地方で、介護職につく日菜と海斗。専門学校の同級生だった彼らは、つきあったり別れたり、無下にしたり執着したりをくり返しながら「倦んだ」生活にほとほと嫌気がさしている。皮肉にも、彼らが仮初につきあう相手と決定的に異なるのは、彼らにはひたすら選択肢がないというところだ。 いざとなれば親の金で借金返済できる、いつでも違う職場に県をまたいで引越しできる、そんな身軽な相手と違って自分にはここに留まらないとならない理由がある。裏返せば人生の選択肢がない。そんな状況で黙々と日々介護の仕事を行いながら、いつしか自身の存在すら危うくなってゆく。そんな不安と恐さ。






