um "ありか" 2025年9月18日

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2025年9月18日
ありか
ありか
瀬尾まいこ
子供は周りの優しさや愛情を受けて少しずつ成長し、子育てを通じて母親も成長していく。けれど決して1人で育児をしているのではなく、ママ友や親戚、周りの人を頼り支えられながら生きていく。人と人の関わりを通じて成長していく姿が印象的だった。 * 私自身は幼少期の美空の経験に覚えがありすぎたし気持ちが理解できたから、美空の母を毒親と称する描写はとても心が痛んだ。親としてのしんどさ、余裕の無さから身近な子供に当たってしまうことだってある、と大人になってから思うけれど、子供としてはいつまでも棘になって抜けない面もある。美空が母と向き合って、自分の意思で母と一線置けるようになって良かったと思った。きっと自分も母親になったからだろう。 * 颯斗君や義理の両親の優しさは美空に対する申し訳無さも少なからずあるのだろう。不義理を働いた元夫の家族と繋がり続けることは不快感もあるだろうと思うと、彼らの関係性に不思議な気持ちを抱いたのは否定できない。 一方で子供が好きな颯斗君が姪:あかりと過ごす時間に癒されていることや、義理の両親が大切な初孫と会えることへの喜びがよく分かる。また美空も彼らに助けられているし、あかりも彼らのことが大好きなのだと思う。 美空とあかり、そして元夫の家族が助け合い、互いの存在に救われている。元の関係性がどうであれその事実は否定できない。 * シングルマザー、LGBTQ、親子の関係…。色んなテーマを抱えている作品だけど、心の中にすっと入り込んでくる温かさを持つ一冊だった。 美空たちのように、いつか作品を通じて自分の欲しかったもののありかを見つけられますように。
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