"イン・ザ・メガチャーチ" 2025年9月19日

彩
@Alice
2025年9月19日
イン・ザ・メガチャーチ
アイドルを推している身として、卒論で推し活を扱った身として共感するものばかりだった。『正欲』しかり『生殖記』しかり、朝井さんは時代の流れを正確に掴んでいて脱帽。 オタクによって様々なタイプがあること。アイドルにハマりたては全てが新鮮で楽しくて、後で後悔するとわかっているのに何枚もCDを積むこと。現実が楽しくないから、視野を狭めてSNSに張り付いて同じアイドルを推す人たちと語り合って……。 数年前の自分がそこにいた。 2年もすれば新規ハイは落ち着いて、売上を気にして積んだり供給に飛びつくことはなくなったけど、なりふり構わず周りに推しの魅力を語ってた当時は何にも変え難い充実感があったなと思う。 そこで得られた友人もいるし、当時は推しのおかげで生きていられたし、初めて生で推しを見たときの感情はずっと忘れたくないって思う。 ただ新規ハイが落ち着くと、推しを消費していることへの罪悪感やCDの大量購入大量廃棄という実態、推し活を推奨するメディアへの不信感などが募って、正解が分からなくて身動きが取れなくなっていた。 視野を狭くして没入することの快感、それでいいのか?という疑問、視野を広げても結局行動を起こせない自分への嫌悪……一通り味わってきた感情が全て描かれていて、朝井さんに全て見透かされている気がして恐怖さえ覚えた。 凄まじい読書体験でした。
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