JUMPEI AMANO "痛いところから見えるもの" 2025年9月20日

JUMPEI AMANO
JUMPEI AMANO
@Amanong2
2025年9月20日
痛いところから見えるもの
〈日常では、たいていの人が、経験的な実感のこもった言葉で会話をしていると思う。ところが、医療の現場では、医師は客観、患者は主観と二分化されやすい。〉(254頁) という問題提起から始まる第11章。「文学的な分類」、そして「脳」の話。話題の出し方、つまり構成がうまいなぁ...。 そして最後の第12章。いろんな人(主に書き残せた人)たちの痛みが取り上げられていて面白い。とりわけヨブと内田百聞の節は面白い。何か面白いって、百聞の節では「かゆみ」に注目しているから。「かゆみ」は今後、ホットな領域になる気がしている(実際、今年の2月には「かゆみの哲学研究集会」なるものが開かれている)。 序章に〈痛い人と、痛くない人のあいだに、痛みについて書いてある本があったらどうだろう?〉(17頁)とあったが、まさに痛みの「言葉探し」の手がかかりになるような本だった。多くの読者の体と心を支えてくれそうな一冊だし、ここから新しい言葉や表現が生まれていくのではないかと思う。
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