ねむきち "ある行旅死亡人の物語" 2025年9月20日

ねむきち
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@ss0412
2025年9月20日
ある行旅死亡人の物語
ある行旅死亡人の物語
伊藤亜衣,
武田惇志
これもまた積読チャンネルで気になった本。面白くて一気読みした。 広島で生まれ育ち暮らしているので、広島本大賞を受賞された時、いろんな書店で見かけたのを覚えている。でもこんなに感動的な本だとは思わなかった。(なんなら少し怖そうだとも思っていた……) 私は、たとえば高いところにいる時、眼下に見える見知らぬ一人ひとりがどんな人たちなのか?どこへ向かっているのか?と、想像してみるのが好きなのだけど、 この本は誰にも素性を知られないまま亡くなった謎多き女性の確かな生の証を追って行く構成で、とても興味深く面白く読めた。 謎が全て明かされるわけではないんだけど、かすかな手がかりを追っていくと少しずつその人の姿が浮き上がってきて、誰かの記憶の中には残っていることが分かる。読んでいる私も、大切に思っている人が少なからずおられることに嬉しく思った。 そして、この本は記者両名のすさまじい努力の取材によって成り立っている。私費で大阪・広島間を通い、聞き取りやネット取材によって少しずつ的をしぼっていく。出会う人々の優しさやあたたかさ。それらがかみ合わさった奇跡のようなタイミング。記者というお仕事は本当にすごいと思ったし、ここまで情熱を傾けられるものに出逢えていることに少し羨ましさも感じた!
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