
りら
@AnneLilas
2025年9月20日

極北の海獣
イーダ・トゥルペイネン,
古市真由美
読み終わった
@ カフェ
文学と歴史と博物学が交錯する、失われたものの幻を垣間見ることのできる不思議な読み心地。かつてキアラン・カーソンの小説を読んだ時を思い出す。
版元のプレスリリースでこの作品の刊行を知って、これはもしかしてとびびびと来たんだけど、まさしく自分にとって最も好ましいタイプの本だった。
読み終わりたくなくてちびちび読んでいたけれど、第三部からはほぼ一気読み。
終盤は鳥とその卵の話題が多かった。
ステラーカイギュウをめぐる人々には学者だけではなく、その家族や名も知れぬ漁師や画家やコレクションの管理者や標本修復師がいて、もちろん女性たちもいた。
絶滅種含め、みな今はこの地球上にはいないけれど、彼らの存在を束の間感じることができるのはやはりこれが文学だからなのだろう。
いつかヘルシンキを再訪して、ステラーカイギュウの骨格標本と対峙してみたい。
