碧衣 "統合失調症の一族" 2025年9月20日

碧衣
碧衣
@aoi-honmimi
2025年9月20日
統合失調症の一族
統合失調症の一族
ロバート・コルカー,
柴田裕之
両親と男女12人兄妹のギャルヴィン家の10人の息子の内、6人が統合失調症を発症する。次々と異常を来していく兄弟を目の当たりにし、それが自身の身にも降りかかるかもしれない恐怖に他の兄妹達は苛まれる。 そんな一家の歴史と精神医学の歴史が交差する。 果たして統合失調症の原因は遺伝なのか環境なのか。 ギャルヴィン家について言えば正直に言って、統合失調症がなくてもいずれはどこかで破綻しそうな家族だなという印象を受ける。 良くも悪くも秘密主義で体面を気にして、金銭的な余裕がないにも関わらず次から次へと子供を産む無謀な両親。男兄弟と姉妹が同じ部屋で寝起きして、常に支配権争いの暴力沙汰とも取れる喧嘩が絶えない。挙げ句に末の姉妹は兄から性的虐待も受けるって…そのこともあって私はギャルヴィン家の両親が好きにはなれなかった。 だから大人になり母親に対して憤り、実家と距離を置く長女のマーガレットの気持ちがよく分かったし、逆に病気の兄達と老いた母の面倒を見る(見てきた)次女のメアリー(リンジー)の葛藤と決断には並々ならぬもの感じた。 日進月歩の統合失調症治療が思わぬ形で引き継がれていく様子は出来過ぎた物語を見ているようだった。 だけど精神医学界で「統合失調症を誘発する母親」なんて概念が長年、信じられていたとは。今だったら炎上間違いなしだろうな。
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