読書猫 "痛いところから見えるもの" 2025年9月17日

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@bookcat
2025年9月17日
痛いところから見えるもの
(本文抜粋) “どんな体験をした人にも、それゆえに「見える景色や立てる地平」がある。山に登らなければ、頂上からの景色はわからない。あるいは、頂上をあきらめた人にしか、同じ帰り道でもつらく見えるということはわからない。 痛みという体験も、同じだ。そんな体験はしたくないわけで、求めたギフトではないが、「憎たらしいギフト」は贈られてくる。“ ”痛みは個人的体験で、しかも言葉で表せない。“ ”人は手持ちの痛みでしか、他人の痛みを推測することができない。“ ”痛みは、人を詩人にする。詩人にならなければ、痛みを表現できないからだ。“ ”痛みは、激痛のときには、人を現在だけに閉じ込めて、前後を考える力を失わせる。 そして、いったん収まると、今度は未来への不安で、人から現在を奪う。“ ”苦痛が人を生まれかわらせることはない。生まれかわったような気にさせるだけだ。 しかし、「苦痛は人間に眼を開かせ、ほかの方法では知覚できないような事象を、まざまざと見せてくれる」のも、またたしかなことだ。これまで見えなかったものが見えるようになる。見えていたものも、ちがって見えてくる。“
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