しおり "蛍たちの祈り" 2025年9月23日

しおり
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@Kaffee5888
2025年9月23日
蛍たちの祈り
蛍たちの祈り
町田そのこ
町田その子さんの新作だ〜!!と飛びつき、購入、そして9月終盤になり読了。 短編集だけど話がつながっていて、言い表すのが難しいのだが命が廻ってる、人生は繋がっているという表現にも見えて良い作品だった。 子供は親を選べない、そういう話はよく聞く。最近のSNSとかを見ると『毒親』という表現がなされていることが多い。確かに子供が子供を育てているような環境下で育った方もいると思うが、割と真っ当に親が子供を育てていても『毒親』という言葉があるせいでそう区分されているのを見るとなんとも言えない気持ちになる。閑話休題。この作品はちゃんと毒親育ちの子供の話だ。ちゃんと、っていうのもおかしな話だが。親だって人だ。だからと言って子供に罪を残すのは違う。愛情と罪は別物、確かにそうだ。「愛してる」から何をしても良いというわけではない。あいしてる、は別に有能な言葉じゃない。もしそれを振りかざしている人がいたら離れたほうがいい。それでも愛されている、という実感を望んでしまうのは仕方ないことだとは思うけれども。そこまで人間は強くない。 愛情、って難しいよなぁと思う。表現の仕方が色々だろうし。でもそれを受け取っている人がどう捉えるか、が一番だと思う。他の人に「かわいそう」だとか「それは愛されてるってことだ」って言われても、本人がどう判断するか、が大切なことだと思う。自分のことは自分で認めてあげないと、他人に依存する人間になってしまう。他人に自分の過去も評価も判断も委ねちゃいけない、とも思う。私のことを知っているのは、私だけだ。 町田さんの作品はふわり、とほのかに光が灯るのが良い。どんな絶望の中でも小さな光を求めてしあわせになろうとする人の姿はどこまでも美しい。素敵な作品でした。 最後に見た光が、しあわせの光ならいいな。
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