
爽
@kicchan52
2025年9月23日

蜜蜂と遠雷
恩田陸
読み終わった
スキマワラシに続いての恩田陸さん。
続けて読んでことで途中で気づいたのだけど、
恩田さんは「自然を感じさせる」描写が多くてかつそれがものすごくわかる。
においや風、いま自分の目の前にはないはずなのに、読んでいるとそのまま自分の中にもしっかりイメージできてしまってすごいなと感じた。
それから、この『蜜蜂と遠雷』は音楽(とくにピアノ)がメインなのだけど、音を表すのにこんなにも言葉があるのかと驚いたし、ピアノコンクールの熱だとか風だとか緊張感、コンテスタントたちのピアノをさも自分も聴きに行っているのかと思うくらい、一話一話気付かぬうちに息を止めてしまっているような、読み終わるたびに胸がぎゅっとなっていたことを感じるような情景の圧を実感して、すっかり私も芳ヶ江国際ピアノコンクールの観客の気分でした。本当にすごい。(そしてこれが小説の、読書の面白いところだなと)
色々な人物の視点に切り替わりながら進む展開だけれど全然迷うこともない。
さらに緊張感のある舞台で、それぞれの悩みみたいなものも確かにあるはずなのに、あっけらかんとどんといられる亜夜だったり無邪気なジン、それから爽やかすぎるマサルの要素のおかげで、そういう意味では胸が苦しくなることがなかったのも、負の感情に影響を受けやすいタイプからしても、精神衛生上とても気持ちよく読める要因だった。
調べたら映画化されてるんですね。
観てみようかな✨
