まっつ "ガーデン" 2025年9月21日

まっつ
まっつ
@mattus_123
2025年9月21日
ガーデン
ガーデン
千早茜
千早茜さんを色んなところでおすすめされたので読んでみた。 おすすめの理由によく挙げられていたファッションや食べ物についての描写は本作であまり目立っていなかったけれど、植物を中心に描かれる仄暗く、でも透明感のある空間の描き方が美しかった。きっとこの美しさで描かれるファッションや食べ物は最高なんだろうなあ。 ただ、どうしても主人公のことを好きになれなくて。それがとても苦しかった。一歩身を引いて、斜め上から世界を眺めてる自分に酔ってる感じというか。人をどこか小馬鹿にしてるというか。自分に似通ったところがありすぎて、読んでいて本当に恥ずかしく、自己嫌悪してしまう作品だった。頼むからこの主人公どうにか変わってくれないか、でないと私が救われねえと願いながら読み進めると、後半で急に死の香り漂う臨場感ある描写が続いてかなりドキドキしながら読み進めてしまった。 大人になって、正直に私の悪い部分を指摘してくれる人が少なくなってしまったから、こういう作品にこれからも沢山出会って行く必要があるなあと心から思うのでした。 【印象に残ったフレーズ】 タナハシはちょっと疲れているように見えた。自分のためだけに生きることに。足りないものを自分の力で埋めていくことに。それは当たり前のことなのに、長い間働いていると、時々それが虚しく思えてくることがある。そういう時は物言わぬ何かに愛情を注ぐといい。 「お願いごとをすることは、自分にとってなにが大切かを考えるってことなんです。その人が自分を見つめなおす場をつくることがお寺の役割で、願いを叶える叶えないではないんですよ」 「調べれば、きざしは見つけられる。けれど、確かに見つけた時にはもう遅いことも多い。でも、それは人間も一緒だよ。いつ死に至る病にかかったか、なにがその人の精神を壊してしまったのか、それは本人もまわりもなかなか気付かない。決定的な症状が現れるまでは。そこに大きな違いはないと思っているよ」 僕は誰の庭も知らない。僕が誰にも自分の庭を見せないように。
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