ガーデン

32件の記録
- まっつ@mattus_1232025年9月21日読み終わった千早茜さんを色んなところでおすすめされたので読んでみた。 おすすめの理由によく挙げられていたファッションや食べ物についての描写は本作であまり目立っていなかったけれど、植物を中心に描かれる仄暗く、でも透明感のある空間の描き方が美しかった。きっとこの美しさで描かれるファッションや食べ物は最高なんだろうなあ。 ただ、どうしても主人公のことを好きになれなくて。それがとても苦しかった。一歩身を引いて、斜め上から世界を眺めてる自分に酔ってる感じというか。人をどこか小馬鹿にしてるというか。自分に似通ったところがありすぎて、読んでいて本当に恥ずかしく、自己嫌悪してしまう作品だった。頼むからこの主人公どうにか変わってくれないか、でないと私が救われねえと願いながら読み進めると、後半で急に死の香り漂う臨場感ある描写が続いてかなりドキドキしながら読み進めてしまった。 大人になって、正直に私の悪い部分を指摘してくれる人が少なくなってしまったから、こういう作品にこれからも沢山出会って行く必要があるなあと心から思うのでした。 【印象に残ったフレーズ】 タナハシはちょっと疲れているように見えた。自分のためだけに生きることに。足りないものを自分の力で埋めていくことに。それは当たり前のことなのに、長い間働いていると、時々それが虚しく思えてくることがある。そういう時は物言わぬ何かに愛情を注ぐといい。 「お願いごとをすることは、自分にとってなにが大切かを考えるってことなんです。その人が自分を見つめなおす場をつくることがお寺の役割で、願いを叶える叶えないではないんですよ」 「調べれば、きざしは見つけられる。けれど、確かに見つけた時にはもう遅いことも多い。でも、それは人間も一緒だよ。いつ死に至る病にかかったか、なにがその人の精神を壊してしまったのか、それは本人もまわりもなかなか気付かない。決定的な症状が現れるまでは。そこに大きな違いはないと思っているよ」 僕は誰の庭も知らない。僕が誰にも自分の庭を見せないように。
- h.@32hitomi2025年8月23日読み終わった★★★★☆ 自分の価値観、自分だけの庭を頑なに守っている男、羽野の話。 他人とは表面上はうまく付き合っているが心を開く事はない。 自分は正しい、でもそれではいけないんじゃないか、誰も幸せにできないのかという気持ちの間で揺れる。 最後の最後に羽野の人生の「節目」が始まった気がした。
- みん@omiso___mi2025年8月15日読み終わった周囲へ期待せず変化を求めない、植物を偏愛する男の話。 そんな人物が視点主だからか、物語は平坦でどこか不完全燃焼さも感じる。というよりむしろ、彼の物語はここから始まるのではないかと思わされる終わり方だった。
- サヤ@sayaemon2025年4月11日読み終わった植物、庭園、夜といった大好きなモチーフにうっとりしながら、他人との距離感や、交じり合い方について考えさせられた 孤独を守ることは決して悪いことではないけれど、他人と深く関わり合いたいなら、生臭く血の匂いのする池の底へ飛び込んでいかなければならない時もある 個人的に、様々な角度から共感できた一冊だった
- 猫@mao10122025年3月6日かつて読んだ植物を愛し、愛されている主人公。千早さんの文章の表現は、まるで植物が人間かのような錯覚をしてしまう。 植物は合理的で、毎日を生きる伸びることに貪欲で、無駄がない。そして、植物のにおいや空気のうつくしさは何者にも変え難いものだと思う反面、その美しさにずっとずっと囚われ続けている主人公のことも恐ろしく感じた。