
猫
@mao1012
2025年3月7日

ガラスの海を渡る舟
寺地はるな
かつて読んだ
ガラス細工を通して、ちぐはぐで歪みばかりだった兄妹が少しずつ歪みを直していく。
『羽衣子はこの世に一人しかおらんのやから、どこにでもおるわけがない。』
誰かと比べて、他人軸で自分を測って苦しんでいる羽衣子のことを、そうやって真正面から向き合って言葉を向けてくれる道の純粋さと不器用さに胸がじーん、となったな。
こうやって親身に、まるで自分の事のように、本人に否定されてもまっすぐでいられる道の濁りのない感情が眩しい。
話自体は読み易く大衆向けと感じたが、その中にも硝子のように透明で繊細で、そんな感情達がたくさん散らばっているような本。