ゆらゆら "文化の脱走兵" 2025年9月23日

ゆらゆら
@yuurayurari
2025年9月23日
文化の脱走兵
文化の脱走兵
奈倉有里
大きな公園で秋風に吹かれてチェアリングしながら読み終える。 前作『夕暮れに〜』が、(ほんとはそんなことないはずだけど)無邪気とも言えるくらい、ひたすら文学への愛に満たされてたのと比べ、2022〜24年に連載された本書はどうしたってロシアとウクライナの戦争のことが随所に現れる。いや、だからこそ、かえって文学(文化)の力を強く感じた。 加えて、子ども時代の話がたくさん入ってくるのも、(割と同世代で住んでた場所もそう遠くないから実感としてわかることも多く)懐かしさと少しの寂しさとを共感できて良かった。 秋を数える話(人生の時間の捉え方が良い方に広がった)や源氏物語の話(やはり角田源氏を読まねば)、巣穴の会話(津村さんの小説みたい)、猫背の鯨(誤植の詩!)…などが特に好き。柏崎の狸の話も、最近家のことをよく考えるようになってたからとても印象深い。雪の新潟に行ってみたいな。
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