えびわさび "琥珀の夏" 2025年9月23日

琥珀の夏
琥珀の夏
辻村深月
ミライの学校で自主性を育てるために親と離れて共同生活を送る子どもたち。特殊な境遇にある子どもたち。そんな子たちと過ごした夏休みの思い出。 自分とは全く違う、無関係だと線を引く一方で、都合の良い時にだけ思い出から取り出して、まるで自分事のように感傷に浸る。 同じ経験がある訳ではないものの、全く身に覚えがないとは言いきれない。自分の中にある直視したくないズルさを突きつけられ、責められているような気分になる小説だった。 ミライの学校の問題が表沙汰になるまでに、きっと多くの外部の大人たちがその問題に気付いていた。それでも全員、見て見ぬふりをしてきた。自分には無関係だと、都合良く線を引いてきた。そうやって見捨てられた子どもたちにも明日はあり、未来がある。そのことを、大人たちは心に刻む必要がある。
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