
一色
@honyonu_isshiki
2025年9月24日

読み終わった
前提として、法医学に関して非常に有益かつ(こういって良いものかは分からないが)面白い本である。
筆者の長きに渡る法医学研究による深い知見、監査医としての経験から導き出される死者の最期の言葉は、医学的・事件的な知識に明るくない素人にも納得のいくものばかりだ。
その上で、同筆者によるナンバリングタイトルである前作「死体は語る」を読んでいるのであれば、本作を改めて読む必要性はそこまで高くないと言わざるを得ない。
というのも、前作は役所に勤める方向けの雑誌に連載された内容を総集したものだったのに対して、今作は警察官向けの雑誌に掲載された内容を再編集したものであり、いずれの内容もほとんど同一となっている。
本作は警察官向けということもあって、前作に比べて筆者の個人的な感想に近い表現は少なくなっており代わりに図解や写真で検死したご遺体の特徴を前作より詳細に解説している印象はあるが、取り扱っている事例としてはほとんど差がない。
前作のような論調で別のエピソードを期待していると些か残念な気持ちになるだろう。
一方で、警察官向けとなっているためエピソードを死因別に紹介しており、索引的な読み方をするのにはこちらの方が便利に思える。
何を目的に読むかによって、前作と本作のどちらがおすすめできるかは変わってくると思う。
