
読書猫
@bookcat
2025年9月22日

渇愛
宇都宮直子
読み終わった
(本文抜粋)
“彼女は初対面の私に対し、「あなたのことを意識してますよ」という姿勢で懐に入ろうとしたのだろう。おそらく、意識的と言うよりは無意識の”反射神経”でやっているように見受けられた。そういった「人に好かれよう」という行動をとっさに取ることはもはや彼女のクセとなっているのだろうか。“
”《私のママはずっと余裕なかったです。だから私がずっと味方でいたつもりでした。ママは大好きだったけど、ママは私の味方になってくれたことはないです。今も好きです。なんとかしてあげないとって思うから》《女の子だから、ママは》“
”「自分のこと、やっとわかって、とにかく書けなくて書けなくて。書きたいと思えなかったから。だって、自分のことを振り返る中で、私は何でこんなに苦しいのかも、なんで”犯罪者”になっちゃったかもわからない……。どうして、どうして、どうしてってぐるぐるするばかりで……。幼稚園で何があったかとか、そこらへんはいいんですけど、中学生のあたりで、完全に書けなくなった。私、中2で頭がおかしくなったんです」“
”「面会の最後に、渡邊さんに『どんな映画にしてほしい?』と聞いたんです。そうしたら、『地獄を見せてほしい』と言ったんです。すごく自分の見せ方がうまいコだなと。……それがとても印象に残っています」“
”振り返ってみれば、面会室で向き合う彼女は、いつも「自分に振り向いてほしい」「自分に強い感情を持ってほしい」と望んでいるように感じられた。“