
nornacum
@nornacum
2025年9月27日

鳥と雲と薬草袋
梨木香歩
読み終わった
エッセイ
旅
記憶
地名
『西の魔女が死んだ』の梨木香歩さんによるエッセイ集。彼女の本はたいてい読んだ気がしていたけど、この本は読んでなかったらしい。西日本新聞に連載された地名にまつわるエッセイを編んだもの。どうりで目次を読むと、なじみのある西日本の地名が多いはずだ(新聞社から「西日本の地名多めで」という発注を受けていたとはいえ、時期的に東北の地名に触れるのは辛かった、という事情もあったらしい)。
「埼」(さき)、「鼻」(はな)、「谷戸」(やと)、「迫」(さこ/せこ/はさま)、「熊/隈/球磨」(くま)、「原」(はら/はる/ばる)のような、地名の構成要素について思いをめぐらしながら、軽妙な語り口で、自身の思い出や印象をさくさくと紡いでいく様が気持ちいい。もちろん読み心地にのせられるままに読み切ってしまうのも悪くはないけど、「連載時と同じように一日一篇と呼んで下されば」と作家が書いているように、徒歩の旅のごとくゆっくりのんびり読むのも乙っぽい。そういう読書のやり方もありますよね。
