欠片 "ツナグ" 2025年9月27日

欠片
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@kakera_0404
2025年9月27日
ツナグ
ツナグ
辻村深月
死者と生者を一度だけ会わせることができる能力を持った「使者(ツナグ)」と、死者に会いたいと望む人達が織り成すストーリーを描いた作品。 作者の「冷たい校舎の時は止まる」を読んだ際に、胸が苦しくなりすぎて辛かった経験から、避けていた辻村深月さんの作品。母がたまたま購入してあり、作者の作品の中でも優しそうな雰囲気があったので、辻村さんの作品に再挑戦しました。 感想としては、やはり辻村深月さんの作品は、読んでいて胸が苦しすぎる描写が多いので、体力ないときは読めないなって感じがします…。 悪い意味ではなく、ものすごく良い意味で、辻村深月さんの描く登場人物達の嫌な所、葛藤が、自分にも当てはまる部分があり、そのまま突き刺さるので、読んでいて苦しくなってしまうんです…。それくらい、辻村深月さんの作品は、登場人物の造形が素晴らしいし、文章もものすごく秀逸なのだと改めて感じました。私は特に、辻村深月さんの描く高校生がすごく苦手で…(いい意味です😭)嫉妬や羨望、自分が特別でありたいと望む気持ち、そういった気持ちが、自分が持っているものと重なって、自分の嫌な部分を見せられているようで辛くなってしまいます…。しかも、その葛藤やジレンマは大体の場合、二人以上の生徒間で起こるので、その中の一人が自分に当てはまるなら、もう一人は自分と敵対するような存在も描かれるので、「自分が受け入れたくない汚い自分」と、「自分の考えと相反する考えを持つ、現実的にも対決するような登場人物」が出てくるので、自分が責められているように感じてしまって、二重に苦しいんですよね…。それだけ、辻村深月さんの作品が、詳細で緻密に描かれているってことなので、本当に素晴らしい作家さんだと思います。 本作は5章に分かれていて、それぞれに主人公が変わるのですが、5章の中では、「待ち人の心得」という章が一番好きでした。7年前に失踪してしまった婚約者を探している男性のお話です。ネタバレになるので詳しくは語りませんが、婚約者として出てくる女性が本当に本当に素直で可愛らしいんです…。こんな純粋できれいな女性になりたいですし、主人公の男性もものすごく誠実で優しい方なので、読んでいて二人の幸せを願わずにはいられませんでした。ちなみに、一番苦しかったのは「親友の心得」という章。私の苦しさを感じる要素がこれでもかと詰め込まれていて辛い…。そしてストーリー自体も、5章中で最も重いように感じました。しかし本当にこんなにきれいに、そして胸が苦しくなるほど登場人物の心情やストーリーを描けるのは、本当に素晴らしい作家さんだなぁと改めて実感しました。 読むのに体力を使うので、私はたくさんは読めないかもしれませんが、辻村深月さんの作品好きな方の気持ちが再確認できたように思います!
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