図書館マン "働きたいのに働けない私たち" 2025年9月28日

働きたいのに働けない私たち
働きたいのに働けない私たち
チェ・ソンウン,
小山内園子
図書館本。小山内さんが訳者で、韓国の研究者の方が著者なのですね。小山内さんが書いたのだと勘違いしておりました……。すみません。 エッセイのような感じかと思っていたのですが、どちらかというと論文で、専門用語豊富です。 ページ数が少ないので、高学歴女性の困難について知りたい人にはピッタリの本かもしれない。時々、著者本人が体験した高学歴女性の困難も交えて語られます。 日本に住む人間のひとりとしては、聞き覚えしかない体験が多く、頷きが止まらない。 体調が悪いときに読んでしまったので、読み進めながら目が何回も滑ってしまった。ざっくりと読んでいた中でも、かなりいい本だという感覚を持ったので、元気があるときに、もう一度読み直したいところ。 個人的には、韓国との比較に、高学歴女性が働きやすいアメリカと、国が育児を大切にしているスウェーデンが挙げられていたのが、良いな~と思った。 アメリカは高学歴女性が評価されやすい分、相対的にパート女性の質が悪くなる。 スウェーデンで時短労働をする正規雇用者=パートと、「パート」という言葉の意味合いが日本と違うことに驚いた。スウェーデンのパートはフルタイムの正規雇用者と同じく、正規雇用者としての賃金が支払われるそう。でもスウェーデンは、この仕事は男性、この仕事は女性の仕事と男女別に仕分けられてしまうのだそう。 そうした意味では、能力差で仕事の選択肢が広がるアメリカの方が、仕事に男女差が少なく、女の人も管理職等に就きやすいとか。 どちらも悩みどころ。当たり前ですが、どの国が優れているとか無いわけで、それくらい共通の悩みである訳ですね。 日本と韓国、どっちがマシかで最底辺の戦いをするのではなく、お互いに学び合ってお互いに国を改善していけばいい、と訳者の小山内さんが言ってました。 本当に、その通りだと思います。
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