勝村巌 "眼の冒険" 2025年9月28日

勝村巌
@katsumura
2025年9月28日
眼の冒険
眼の冒険
松田行正
すでに休刊となっている隔月誌『デザインの現場』にて連載されていた松田行正さんの原稿をまとめたもの。 編集や書籍デザインなどの印刷文化に携わっている諸兄には必読を強くお勧めする本だ。 書名の『眼の冒険』というだけあって、印刷される図案について、広く社会的文化的な分析を行っている。 しかも新書などのように何か大きなテーマや目的があるわけではなく、図案に関連するものであればなんでも百科事典的に取り扱うため、古今東西の様々な文化についてなにかと広く触れている感じがあり、面白い。 相似的な図版や形を世界中から集めてみると科学や歴史などに不思議な関連が現れる、という話とか、最近、映画で話題のレッドツェッペリンの4枚目のアルバムに描かれた4つのシンボルの話とか、日本の初の活版印刷機は天正遣欧少年使節が持ち帰っただとか、世界初の大学はパリ大学で、そこでは研究者はスコラと呼ばれ、主キリスト教の内容整理として分類を行なっていたため、アカデミックな研究というのはそもそも分類することであった、なんてことだったり、とにかく、なんか面白い話がてんこ盛りになっている。 もちろんフォントや図版、文字などの文脈についても大変に興味深い話がたくさん含まれているので、広く世の中のことを知りたいという人はぜひ読んでみてほしい。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved