
数奇
@suuqi
2025年9月28日

くますけと一緒に
新井素子
読み終わった
「ぬいぐるみホラー」と作者自身も銘打っているが、ホラー要素よりも「毒親」的なテーマを35年近くも前の作品で扱い、それに対し明確に回答を与える物語になっている点が素晴らしいと感じた。両親の死に対してむしろ嬉しいと感じてしまう子供の精神的葛藤、罪悪感、大人に気を遣う描写が生々しすぎるほどリアルで、それらの問題を乗り越えた先にあるストーリーはとても読み応えがある。むしろホラー要素は蛇足に感じてしまい、エピローグなんかは無い方が個人的には好みだが、それだと作者の意向と異なる作品になってしまうので仕方ない。何にせよ「ホラー」として強く売り出すことには違和感が強いのだが、人の感想を見ていると人によってこの作品をどう感じるか異なるのも面白い。
作者のあとがきも、ぬいぐるみ愛が伝わってきてとても面白い。今でこそブームのぬいぐるみだが、当時は「ぬい撮り」なんてあり得なかっただろうし、本当に元祖のぬいぐるみ好きなのだなあとリスペクトした。




