
時雨崎
@rainstormbook99
2025年9月28日

丕緒の鳥 十二国記
小野不由美
読み終わった
かつて読んだ
昔読んだけど再読。やはり「落照の獄」の異才っぷりがすばらしい。
人並みに穏和な人間の世界からケダモノと指差される存在に対して、臭いものに蓋をするように切り離してしまうしかないのか。そういう分断を繰り返して、平和で綺麗な世界は保たれるものなのか。平和で綺麗な世界を保つための手段に殺刑を用いることは本当に正しいのか。
それでも殺刑にするのが一番ましな選択であるとき、その決断をしなければいけない人間と、実行しなければいけない人間にのし掛かる重みを、民衆はどれほど理解できているのか。
他三篇も、十二国記の舞台でありながら王でも英雄でもない役人や民衆たちが懸命に生きて、少しでも良い世の中にしようと切に願う感情がひしひしと伝わってくる。
泥臭いけど心に沁み入る群像劇が丁寧に描かれた短編集。


