まいける "世界地図の下書き" 2025年9月29日

世界地図の下書き
前日読み終わった本で私の心にまで翳りが侵入していたので、朝井リョウさんに振り払って欲しかった。 朝井リョウさん、ありがとうございます。20代前半の作品らしく若さがほとばしっている。こういう色彩のある、熱のある話が読みたかった! 小学生の気持ちや思考パターン、会話にいたるまであまりにリアル。ストーリーはリアルでなくとも、朝井リョウさんが伝えたかったことが、一番のお姉さん、佐緒里を通して語られている。 優秀でありながら、直前で進学の道を諦めざるをえなかった彼女。いじめや虐待を受けている、受けた経験のある「青葉おひさまの家」の弟分妹分が、佐緒里との別れの前に夢をプレゼントしようとする。 逃げてもいい。どんな道を選んでも、道は狭まったりしない。必ず出会いと救いがある。 そう語る佐緒里自身が自分自身にも言い聞かせているんだとわかった時、どうしようもなく込み上げてくる。 この小説によって、心が軽くなった若者、読者はたくさんいるはず。 大袈裟に言うと文学の力、存在意義まで再確認できた。改めて朝井リョウさんに感謝したい。
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