ゆずこしょう "帰れない探偵" 2025年9月29日

帰れない探偵
帰れない探偵
柴崎友香
記憶と、ルーツと、音楽と、尊厳の話だった。植民地主義の話でもあった。友達が誰にも言えない話を打ち明けてくれたときの、むず痒い感覚を思い出しながら読んだ。打ち明けてくれたことはとても嬉しいんだけど、あまり適切な反応ができなくて、せっかく信用して話してくれたのにこれでよかったんか?みたいなむず痒さ…。いやまあ私が人生をサボらず経験値を積めばいい話なんですが。10年くらい経ったら読み直したい。白馬旅行で友達のルーツと現在と未来をビシバシ感じた直後に読めたのも体験として良かったな。 「だんだんと忘れるというか、自分の中から失われていくのは、学校で習った〝正しい〟ほうの言葉なんだ。生まれて最初に聞いた言葉、話した言葉、友人たちと毎日どうでもいいようなことをしゃべり続けていた言葉は、わたしの中から消えない。長い間会っていない友人たちの声が、何十年も前に交わした言葉が、今もときどき聞こえてくる」 「先輩の言葉もわたしの言葉も、どこかで聞いたようなことをつなぎ合わせてるだけにも思えた。それでも、話し続けることが必要だった。」
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