
装丁フェチ
@yr_k_
2025年9月29日

桃を煮るひと
くどうれいん
読み終わった
借りてきた
「それをだれかが「丁寧な暮らし」だと嘲笑するかもしれないが、うるさい。わたしは大根を面取りしているだけだ。それ以上でも、以下でもない。わたしはわたしの大根を切る。おまえはおまえの大根を切れ。」p102
「わたしが実家でケーキを欲しがったのも、本当はケーキが欲しかったのではなくて、家族でいるとうれしいということを何度でも確かめたかったのかもしれない。」p108
「不安になる日には、菜箸を握ってとりあえず厨に立つ。(中略)その間だけはわたしのからだのまわりに薄い虹色の膜のようなものが出来て、それがわたしを守ってくれるような、そんな心地がする。そうして出来た食事を摂った夜に原稿に向かうと、また薄い虹色の膜のようなものがわたしを包んで、次の文章を呼んできてくれるような気がする。」p131