
あおたむ
@aooimmo
2025年9月30日

白い薔薇の淵まで (集英社文庫)
中山可穂
読み終わった
【ネタバレ】
生々しすぎる
性的な表現が多すぎた
こういう堕落していくのを見ると、重たい気持ちになって、何というかズンって気分が落ちちゃうけど、それでも早く続きを読みたいとは思った。
最初から塁が死んでることは分かってたからハッピーエンドではないと思ってたけど、結局これも最後どうなったのか想像でしかないけど、比較的理性的な性格である自分からすると、「どうして会いに行くの、どうして許してしまうの」って思ってしまった。喜八郎という、何にも変えられないほどパーフェクトな人がいるにも関わらず、どうしてまた自分から堕ちていくようなことをしてしまうのか分からなくて、イライラする部分が多かった。でもそれこそ愛であり、執着に繋がるほどの愛は結局破滅を呼ぶんだなと思った。
クーチも喜八郎に対して「悪いことをしている」っていう自覚はあるのがまた腹が立つ。そういって「私が悪い」と言ってしまうと、喜八郎はそれ以上何も言えなくなるし、どうすることも出来ないと思う。許すか、許さないかの2択になって、許さなかったら何故か少し罪悪感を抱くようになると思う。
そうやって悪いことを認めるのは、良いようで悪い。きっと相手は許すしかなくなっていくから。
しかも、喜八郎に迷惑をかけているにも関わらず、「あなたには分からない」といって、理解してもらえないことを責めるところも嫌い。正直に悪いと言ったからといって、喜八郎が許す理由にはならないし、かといって許さないことももうできない。気を遣わなければならないのは明らかにクーチの方なのに、クーチのそういうところが大嫌いだった。
大まかな内容でいうと、「汝、星のごとく」と少し似ていると思った。
私はそんな人を好きになったことがないし、「気持ちを抑えて平凡な幸せを選ぶくらいだったら破滅の方がいい」と思う日が来るとは思えないけど、そういう形の愛もあるんだなと思った。
破滅してたら結局意味がない 全てを放り出すことは誰でもできるけど、それを皆んながしてしまうと社会の秩序が成り立たないわけで、その結果、喜八郎との離婚や家庭崩壊に繋がってると思う。破滅の先が不幸しかないとしても、それでもなお破滅を選べるのが、感情の美しくも儚い部分だなと思った。