
もん
@_mom_n
2025年9月30日

降りる人
木野寿彦
読み終わった
心に残る一節
@ カフェ
普段純文学を好んで読んでいるのもあり、今まで小説野性時代新人賞に触れたことはなかったが、好きな作家が「めちゃくちゃ純文学だった」と言っていたので気になって購入。
裏の帯にある「この小説に救われる人が、必ずいる」という担当編集さんの言葉通り、人生に絶望しながら逃避するように読み始めたのに読み終える頃には救われていて、もうちょっと生きてみるか〜と思えた。本当に読めてよかった。
p.50
日記を書こうかと思ったが、何を書いていいか分からなかった。いや、何を書かないでいるべきか分からなかった。書かないでいれば、存在しないことにできるのだろうか。布団に横になった。発泡酒のアルコール成分が嫌な具合に体をめぐり、眠りの訪れを妨げ続けた。
p.73
彼らの言う「教育」がよく分からなかった。僕がこのありさまなのは、教育が悪かったからではなく、生まれたときから備わっていた何かが、見つかることも教育されることもなく放置され続けてきたからだと思っている。
p.213
「僕はどんな風に生きたらいいか分からないよ」
浜野はあくびをしながら、
「しれっと生きればいいだろ」
と言った。