降りる人

19件の記録
- 綾鷹@ayataka2025年12月14日山奥の工場で期間工として働く男性が主人公で、工場と寮を行き来する生活を描いた物語。 小説 野性時代新人賞受賞を受賞した小説とのことで読んでみた。 主人公が周りに傷つけられ、自分の状況に鬱々としていく姿が切ないが、友人の浜野の存在で救われていく。 空気が読めないけどブレない浜野というキャラクターが終始おもしろい。 最後の終わり方もよかった。こんなどうでもいいことで人は救われるのかもしれない。 自分も思い悩むことはあるけど、もっと気楽に考えてもいいのかもしれない。 『ツァラトゥストラはこう言った』をイキりラップと表現。笑 今度そういう視点で読んでみよう。 ・「やり直したいとは思いませんか?」 「何をやり直すんだよ。やり直したってまた俺になるだけだろ。ゆっくり時間をかけてじわじわ俺になっていくんだよ。そんなのごめんだね」 ・「ねえ、浜野の言う降人は、どうして降りる人なの?選択することを重視するんだったら、選人とかの方がいいんじゃない?」 風が吹いた。何か見えないものがせまってくる感じがした。風が通り過ぎると、浜野は答えた。 「降りるってことを意識の隅に住まわせたいんだ。まあ、実際に何かから降りると、だいたい結果はろくでもないことになる。その責任を引き受けながらも、降りるってことを肯定的選択肢として持ち続けたい」 「なんだか難しいね」 それから、一分くらい海を見て過ごした。やがて、「生きていい」 と浜野は言った。「今のお前には誰も言わないだろうから、俺が言う。お前は生きていい」 波が砕ける音がした。 「僕はどんな風に生きたらいいか分からないよ」 浜野はあくびをしながら、「しれっと生きればいいだろ」 と言った。 ・なぜこんなことが起きたのだろう。おそらく、「サンドラの週末』を観る前にこのDVDを観ていて、入れ替えるときに面倒でこのケースに入れてしまったのだ。 「浜野、間違っているよ」 とつぶやいた。もう一度タイトルを見る。「紗倉まなが好きすぎて紗倉まなが彼女になってた」。そんなこと、あるわけない。思わず、笑みがこぼれた。じわじわと、おかしみは全身に広がっていった。僕は床にごろんと横になった。いつもこうだ。浜野は、僕が切々と積み上げる悩みや考えをあっさりと更地にしてしまう。それが正しいことなのかは分からない。 とにかく、今、悲しみは粉々だった。

ポチ@takupochi_19932025年12月7日読み終わった基本的に工場と部屋を行き来する場面が多いが人物の描写や小物の使い方が上手く、主人公の秘密も相まって最後まで飽きずに緊張感を持って読めた。 願わくば多くの仕事や生き方に悩む人にこの物語が届いて欲しいが、そういう人に小説を読む暇や時間があるのかは分からない。この感想が何かのきっかけになれば嬉しい。

はづき@paroles11182025年10月17日読み終わった余韻。一気読みしちゃった。いい本だ。とても。 淡々として、ところどころ可笑しくて(浜野の指南書、本当に声出して笑ってしまった)、でもラストのひっそりと張り詰めた空気感とその弛緩の描写がすごい。 作中の性的なことへの会話に若干抵抗を感じないわけではなかったけど、それがなければこの空気感は出せなかったんだと読んだあとなら思う。どの人物も、実際に会ったら敬遠してしまう人たちなのに、なんだかすごく良かった。好みです。次の作品も楽しみ。

nami 𓐃✈︎@____73r2025年10月10日読み終わった耳鼻科に行く前に、あ、本忘れた..と思って、いつもは素通りする書店にふらりと入り購入した作品。そのまま耳鼻科に入り、さぁ読もうとページを開くと、特に何もまだ起きていない段階で、涙がほろほろと零れた。静かなのだけど、虚無ではなくて。わたしは、こういう物語に救われる夜があるし、木野さんの自作を楽しみに待とうと思う。 10月、まだまだ、暑いです。







もん@_mom_n2025年9月30日読み終わった心に残る一節@ カフェ普段純文学を好んで読んでいるのもあり、今まで小説野性時代新人賞に触れたことはなかったが、好きな作家が「めちゃくちゃ純文学だった」と言っていたので気になって購入。 裏の帯にある「この小説に救われる人が、必ずいる」という担当編集さんの言葉通り、人生に絶望しながら逃避するように読み始めたのに読み終える頃には救われていて、もうちょっと生きてみるか〜と思えた。本当に読めてよかった。 p.50 日記を書こうかと思ったが、何を書いていいか分からなかった。いや、何を書かないでいるべきか分からなかった。書かないでいれば、存在しないことにできるのだろうか。布団に横になった。発泡酒のアルコール成分が嫌な具合に体をめぐり、眠りの訪れを妨げ続けた。 p.73 彼らの言う「教育」がよく分からなかった。僕がこのありさまなのは、教育が悪かったからではなく、生まれたときから備わっていた何かが、見つかることも教育されることもなく放置され続けてきたからだと思っている。 p.213 「僕はどんな風に生きたらいいか分からないよ」 浜野はあくびをしながら、 「しれっと生きればいいだろ」 と言った。












