
もぐもぐ羊
@sleep_sheep
2025年9月30日

完璧な病室
小川洋子
読み始めた
表題作の「完璧な病室」とあとがきを読んだ。
余命が13ヶ月しかない弟と過ごす姉の日々が綴られているが、主人公が危なかっしいというか時にグロテスクな想像をしたり性的な妄想をしたり、心の揺れに読んでいるこちらも翻弄された。
また亡き母についての回想は、死について書かれているはずなのに悲しんでいる様子はなく、また母の死因がたまたま居合わせた銀行に銀行強盗が来て、躁状態の母が正論を捲し立てたために猟銃で撃たれたというもので、ここだけ異質だった。
私の好きな、小川洋子文体だから気づかれないとんちきエピソードだと密かに思ってる。
タイトルの「完璧な病室」は弟が入院していた病室と最後のシーンの病室のことだと思うけど、彼女にとっては最後のシーンの病室がほんとうに完璧な病室だったのではないかな?と思う。
旧版の表紙もよかったけど、今回読んだ中公文庫版の表紙の方がより物語に合っている気がする。









