あむ "光のとこにいてね" 2025年10月1日

あむ
あむ
@Petrichor
2025年10月1日
光のとこにいてね
異なる環境で育った人間の、歳を重ねるにつれての思考の移り変わりの描き方がとても繊細で丁寧。フィクションであるのにまるで別の人生をまるまる体感したようなリアルさと満足感がありました。 以下ネタバレ含みます ------------------------------ 人の数だけ地獄がある。 他人から見てどんなに羨ましいものを持っていたとしても、その人が地獄を抱えていないとは限らない。 たとえば、「何不自由なく生活していける財力」 たとえば、「誰もが認める美しさ」 結珠と果遠は平凡な私からしたら十分すぎるほど非凡で価値のあるものを持っていたけれど、2人は等しく地獄を経験してきたのだと思う。 わかっていても他人を羨み、自分が一番不幸だと思ってしまう自分の弱さを、この物語から改めて突きつけられた気がした。 「もう、想像の中のあなたに『なぜ』や『どうして』を投げかけない。欲しくても与えられなかったものの残像を見て指をくわえるのをやめる。」 諦めても諦めきれない「欲しかったもの」が私にはたくさんある。 きっと今でもずっとそれに執着しているんだと思う。 作中の2人がそれぞれの人生に結論を出すように、私もそんな執着に決着がつけられたらと思う。 その上で、何もかも捨てたってそれでも大切な人間と、私も出会いたい。
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