
いっちー
@icchii317
2025年10月1日

刑務所に回復共同体をつくる
毛利真弓
熟読中
けっこう胸がいっぱいになってしまって書ききれないというか、全部が良いんだけど、こんなに熟読できる機会もないかもしれないから頑張って書き留めておく。
p117で「「他人の尊厳を奪ったんだから奪われて当然だ」と思う読者もいるかもしれない。しかし、人を殴った人を誰かが代わりに殴り倒しても結局被害者が増えるだけであるのと同様、代理の懲罰など意味がない。毎日尊厳を踏みにじられてまっとうになれというのは、無茶な話だ。」とあるけど、もうこの言葉が全てだと思う。
それでも現実にあるのは、「反省しろ」「しています」「いや、反省していない」「しています」のような押し問答で、刑務官のスキル不足や抑圧的な文化がそのまま出てしまっている。「短期は満期」ということわざのようなものが蔓延していて、受刑者は考えずに耐え忍ぶことを学んでいく。
p221で「守られたTCの環境で、いくらいろいろできるようになっても、逆風の多い社会では、うまくいかないこともあるのではないか」と言う問いに対して、
訓練生が「TCって他よりも揉め事多いと思うんです。他のところは力関係ができちゃってて揉めないっていうか。押さえる方と押さえられる方ができちゃってて。TCはでも言いたいこと言うでしょ。自然に意見の食い違いができる。」
と語っており、まさに、力関係のある場所では受刑者に関わらず意見をぶつける機会がほとんどない。他を知らないと、緊張した抑圧/支配の構造から抜け出すことができない。TCはたしに守られた環境ではあるが、そこで人との関わりの原則を学ぶことに意味があり、その環境を今度は社会に持ち帰ることができる。親や妻、子どもときちんと向き合って安心・安全な場所を作る責任を果たすことができる。
TCは性格を変えるのではなく、生き方のパラダイムを変えることを目的としている。
読んでいて、ここまでの成長が見られるコミュニティを他に知らない。
