ヨル "結婚式のメンバー" 2024年9月1日

ヨル
ヨル
@yoru_no_hon
2024年9月1日
結婚式のメンバー
結婚式のメンバー
カーソン・マッカラーズ,
村上春樹
「気の触れた」少女フランキーが、兄の結婚式で自分の人生が変わることを夢見て、さまざまな奇矯な行動に出る、ひと夏を描いた物語。まず、冒頭の一文から引き込まれる『緑色をした気の触れた夏のできごとで、フランキーはそのとき十二歳だった。』この「気の触れた」というフレーズはこの本の所々に出てくるのだけど、まさにぴったりな言葉だと思った。ほんとに気が触れている、狂っている。そして当の本人にはその自覚が全くない。ちょっと悲しくなるぐらいに。でもその「気の触れ方」は、わたしたちが全く知らないものではなく、多かれ少なかれ、誰もが少しくらいは経験したことがあるのではないか、とも思う。悲しくなるぐらいに美しいとも思ってしまう...少女の特別なひと夏の思い出。前半は夏の暑さで気だるく暑ぐるしい空気感で進んでいくのが、後半から急に加速して、夏の終わりの涼しさや虚しさが一気に押し寄せてくる、気づいたらもう秋だった。最後に残るこの感情はなんなんだろう、という気持ちになる。村上春樹訳で読めたことがうれしい。年明けは『哀しいカフェのバラード』を読む。
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