あおたむ "デッドエンドの思い出" 2025年10月2日

あおたむ
あおたむ
@aooimmo
2025年10月2日
デッドエンドの思い出
デッドエンドの思い出
よしもとばなな
【画像ネタバレ 感想】 すごくすごく良かった。 本当に存在する誰かの人生を少しだけ、5つ覗き見したような感じだった。 人によって幸せと不幸は違うけど、皆んなその2つを、バランスを取りながら心を保ちながら生きているんだなと思った。 当たり前だけど、人の数だけ人生があるんだなと思った。 出会いも別れも、生きていたら必ず経験することで、その時にどういうことを思うのか、その先をどう生きていこうとするのかっていうところの選択肢は無限大にあって、正解も不正解も分からない、本当に大きな流れの中で生きていかないといけないと思うんだけど、その中で「こういう考え方もあるよ」「この人はこういう選択肢をしてみたよ」っていう、アドバイスでも指南書でもない、人生相談をみんなでしているみたいな本だった。 読んでいると、私の人生も考えも、否定されることも肯定されることもなく、ただそのまま在っていいんだと思えた。 2作目の「おかあさーん!」は、私の家庭状況と少しだけ似ているところがあって、私が自分のかつての父に寄せている思いと同じだった。 事実から見ると、父が私たちにしたことは本当に酷いことだと思うし、してはならなかったことだけど、それでも私には幼い頃に父から大切にしてもらった楽しい記憶があるし、その頃の父が偽物だったとも思えないから、私にしか分からない私だけの父がそこにはいるんだと思ったし、そう思っていいんだと思った。客観的に見た父ではなく、私の記憶が持つ父は存在したままで大丈夫なんだと思った。 この本に出てくる登場人物はみんな、その後どうなったのかっていうのは分からないけど、そこがまた良かった。 人生っていうのは自分で創り出していくもので、少しずつ糸を紡いで、時には破れて、その破れた箇所を直していくようなものだなと思った。 また辛いことや、何か悲しいことがあった時に読もうと思った。この本の中にいる人達に人生相談をして、勇気を貰って、また糸を紡いでいけるように、片手に持っておこうと思った。
デッドエンドの思い出
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