
ぐ
@busy-lake
2025年10月2日

日の名残り
カズオ・イシグロ,
土屋政雄
読み終わった
面白い仕掛けの小説だと思った。
一人称小説の中でも特に特に視野が狭い。
主人公の語りだけで話が進むのは当たり前なんだけど、
ミステリーでもないのに見えるものが本当に少なくて、
長年屋敷から出ないし、価値観は固執してるし、
叙述ミステリーでもないのにこんなに視野が狭い小説って珍しい気がする。
主人公は実際には視野が狭いわけじゃなくて、
仕事と主人にしか興味がない。
執事の仕事と主人のことなら、誰よりも察しが良く、細やかな気遣いが出来る、何もかも見えているのだけど、
それ以外のことになると全く見えないんだ。
別に特別気の利く訳でもない読者が当然気付くことに、
主人公は全く気付かなくてもどかしい。
それも過去の回想だからどうにもならない。
そんなのがなんか面白かった。
この著者の他の小説も読んでみたい。
わたしを離さないでの冒頭を試し読みしたけど、
なんか似たような感じ?



