
結城
@aori
2025年10月3日

世界終末戦争
マリオ・バルガス=リョサ,
Mario Vargas Llosa,
旦敬介
読み終わった
昨夜バルガス=リョサ『世界終末戦争』(旦敬介 訳)読了。
面白かった。
すごい。
何がすごいってずっと面白いのがすごい。
圧巻。
とても気力は必要だったけれど、本当に読めて良かった…。
(ここからネタバレ)
でも大きな疑問が一つ残った。
近眼の記者が男爵に語ったのが「七人、軍の包囲から逃れた人間がいるだけです」なのに、あのほら穴には花火屋アントニオ、ヴィラノヴァ兄弟、サルデリーニャ姉妹、近眼の記者、小人、ジュレーマの8人残ってることなってる。
もしかしてジュレーマはカヌードスを出るという話のときに近眼の記者が「ジュレーマが力尽きてしまって」「ジュレーマがだめなんだ、だからぼくも…」と言っているあたりのあと走ってるあたりからジュレーマの幻覚…?
ほんとは置いていかれてる?
ほら穴の中でもジュレーマがいるように描写はされてるけど、高熱に浮かされた小人の視点だからなんじゃないのか…。
だから近眼の記者は男爵にジュレーマのことを聞かれても不自然に話を逸らしていたんじゃないの…。
男爵にカヌードス後の小人の話はしてるけど、ジュレーマの話はしてないんだよなあ。
ただの単純な著者のミスだろうか。
「大天使さまが天国に連れて昇りなさったんだよ」「あたしはみんなこの目で見たんだから」という締めは、「見た」とされるものの不確実性を示唆したものではないのか。
「眼鏡が壊れたせいで(略)何も見られなかった」近眼の記者の語りはどうなのか。
死者二万五千から三万という数も、その計算の元になったカヌードスの住居の数が「もう家なんてものじゃなく廃墟と化している家の数を勘定」したに過ぎない「数字をでっちあげてみた」ものに過ぎない。
結局ここで語られた全て、何が真実で何が真実ではないのか定かではないということなんだろうか。


