
つたゐ
@tutai_k
2025年3月9日

東北学/忘れられた東北
赤坂憲雄
読み始めた
心に残る一節
旅の供
いずれにせよ、列島の常民たちの食文化を支えてきた、縄文以来の雑穀の歴史は、稲作中心の公けの歴史の陰に埋もれてゆこうとしている。稲をつくり、コメを食するのが日本人であるーーという、けっして歴史の現実に根ざしてはない虚像が、どれほど私たちを呪縛し、列島の文化や歴史をみる眼を曇らせてきたことか。稲作の周縁に、あるいは外部に、もうにとつの小さな民=常民の歴史が沈められている。たとえ見えにくくはあれ、それは疑いもなく稲の歴史よりもはるかに深く、拡がりをもった、もうひとつの常民の歴史である。
