おこめ "ラインズ" 2025年10月4日

おこめ
@ufufu305
2025年10月4日
ラインズ
ラインズ
ティム・インゴルド,
工藤晋
おこめ
@ufufu305
私たちが住んでいる世界は、きちんと秩序づけられたシステムに収まりきらない豊かな線状性を示している。実のところ、世界はまさに、人が押し付けようとするどんな分類からも常に身をくねらせるように逃れ、あらゆる方向へ緩やかに延びていくさまざまなラインなのだ。(p.89) 現代の大都市社会に住む人々は、さまざまに連結された要素が組み立てられて出来ている環境に自分たちがいることをはっきりと自覚している。しかし実のところ人々はそうした環境のなかでも自らの道を縫うように歩み続け、歩みながら小道を辿るのだ。人々がどうやって自らが留まる環境をただ占拠するのではなくそこに住みつくようになるのかを理解するためには、組み立てというパラダイムから歩行というパラダイムの分析へ戻ってみる必要がある。(p.123) 散歩に出かけるラインのように、徒歩旅行者の小道はあちらこちらに進んでゆく。方々で中断してからまた先に進むこともある。その小道には始点も終点もない。道の途中において、彼は常にどこかの場所にいる。しかしすべての「どこか」は、別のどこかへ行く途中にある。 住まわれた世界とはそうした踏み跡の入り組んだ網細工であり、生がそれらの踏み跡に沿って進んでゆくにつれて絶え間なく織られ続けるものである。それに対して、輸送は特定の場所に結びつく。すべての移動は人や人の財産を別の場所に移すためのものであり、特定の目的地に向かう。旅行者はある場所から出発して別の場所に到着するが、そのふたつの場所のあいだのどこにも存在しない。全体としてみると、輸送ラインは点と点を連結するネットワークを形成する(p.135)
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