ラインズ
20件の記録
- おこめ@ufufu3052025年10月4日読み終わったこれまで自分が考えてきたこと、なんとなく窮屈な思いを言語化してくれたような本。世の中が直線化しすぎていること。それは、街の作りから、生き方に至るまで言えることだ。 学校や会社は、狭い通路、隙のない部屋。自由に使えるスペースを極力省き、余白のない直線的な空間がひしめき合う。そんな空間が凝縮されているのが都市である。 私たちはその中で、一つの目的や目標を「定め」、それまでの最短距離をまっすぐ進むことに慣れてしまってはいないか。 フリーハンドで完璧な直線を引けないように、まっすぐ歩いているつもりでもいつの間にか曲がっているように、私たちは曲線の中にいるのが自然である。 右往左往しながら、立ち止まり、歪み、迷っていいと、この本が励ましてくれた気がする。 ラインが途切れるのは死を迎える時のみであり、その時までラインは曲がりながら伸びていく。 「実のところ、居住という縄細工の触手を逃れられるものはない。どこまでも広がろうとするそのラインが、これから広がり進行するかも知れないあらゆる裂や裂け目に探りを入れているのだ。生は何かに収まろうとせず、自分と関係する無数のラインに沿って世界を貫く道を糸のように延ばしていく。もし生が境界線のなかに押し込められないものだとしたら、それは囲われるものでもないだろう。では、環境という概念はどうなってしまうのか?文字通りの意味では、環境とは囲うものである。だが居住者にとって環境とは、境界を設置されるという状況から成り立つものではなく、自分の使ういくつかの細道がしっかりと絡み合った領域から成り立っているものだ。この絡み合いの領域ー織り合わされたラインの網細工ーには内部も外部もない。在るのはただ隙間や通り抜ける道だけである。」(p.165-166)
doji@doji_asgp2025年7月31日読み終わった解説でインゴルドがギブソンを批判的に検討していた、というルーツが記されていて、なぜここまでこの本がデザインの世界に示唆を与え続けているのか、その理由がわかる気がした。人間の行為と物質、文化、テクノロジーとのかかわり合いの様相とその歴史を、「線」という視点からやわらかい思考とともにひとつのものがたりのように紐解いといていく。あまりに射程が広いにも関わらず、受け取ることができるのは学問的な美しさというか、領域に問わられずにものごとを研究することのすばらしさ、学際性の豊かさの極みのようなもの。

ふんわり@funwari2025年7月27日気になる私は、文字を書いたり絵を描いたり、紙に線を引くようなことは好きだが、音楽や刺繍などには苦手意識がある。これらに実感として「線」という共通項が見出せたら、今までとは違った歩み寄りができるだろうか。 むずかしい本かもしれないという予感がある。しかし、とても興味があるので近いうちに挑戦してみたい。
h@n4gi2025年3月7日かつて読んだ圧倒的名著. Ontology Turnを牽引するTim Ingoldの作品. スティーブ・ジョブズもプレゼン中に"connecting the dots"と述べているように,全ての営みは軌跡を生み,線となる. 文字も線.すべてが線で成り立っている. 『声の文化史』なども合わせて読みたい. 本紹介のスライド作成をし,講義で使用したため,なんとなく理解はできていると思う.
















