
reina
@dawn_39
2025年9月30日

奇妙な星のおかしな街で
吉田篤弘
読み終わった
「目の前のことに、まずは集中すること。
世界に対しては、いつまでも子供でいる方が、どうやら居心地がいい」
表現の仕方が天才的すぎる。
自分のお守りにしたい言葉🕊️
・いつのまにか、われわれは頭脳に関わる能力を試験によって計測され、百点満点のうち何点であったかという数値によって、その後の人生が左右されるような脅し文句を吹き込まれた。
はたして、あのようなペーパー・テストで人間の能力が計測できるものか大いに疑わしい。
しかし、この星の人間たちは、他のよりよい方法を未だ見つけ出せない。
そのこと自体、そもそも、人間の能力が百点満点にほど遠いことを示しているように思われるのだがー。
・とかく、人の世は無垢や純粋といったものに価値を見出しがちだが、人をかたちづくっているのは、間違いなく傷の歴史である
・できれば、あらゆることについて、未来の自分を楽しませたい。
とある月曜日の夕方、行きつけの果物屋で、少々値の張るメロンを買った。
冷蔵庫に入れて冷やし、食べごろになるのは木曜日くらいか。
少々、値が張るので、買うべきかどうか迷ったが、月曜日の自分は木曜日の自分を楽しませるために、(よし)と決めたのだ。
ぼくはこれを「幸福な時限爆弾」と呼んでいる。人生の楽しみは、この「幸福な時限爆弾」を、いくつ仕掛けられるかにかかっている。
・そうして情報に背を向けたことで見出されたのは、その方が目の前のことに集中できるという周知の事実だった。
急に半径ニメートルで起きていることが鮮やかな色彩を帯び、たとえば、お湯をわかして一杯のお茶を飲むまでの自分の一挙手一投足が、いちいち心地よく感じられるようになった。
「よそ見をしないで」と母の声がよみがえる。
その警告の本当の意味を、いまごろになって噛みしめている。欲張ってはならないのだ。手もとがおろそかになってはならない。
目の前のことに、まずは集中すること。
世界に対しては、いつまでも子供でいる方が、どうやら居心地がいい

