結城 "猿の戴冠式" 2025年10月5日

結城
結城
@aori
2025年10月5日
猿の戴冠式
猿の戴冠式
小砂川チト
オーディブルで聴き終わった。 熱量がすごくておもしろくはあったんだけど、自分の捉え方に問題があるんだろう、だいぶすっきしない気持ちでいる。 自分はシネノのことは主人公が感情移入した上で作り上げた物語として聴いていたんだけど、そうするとこの主人公が自己の立て直しのために利己的に動物を物語として消費した(作中で批判的に登場する動物にアテレコする動物番組や、赤ん坊にアテレコする親と同様)存在になってしまう。 でも多分そういう皮肉をやりたい感じではないんだろうし、近しい存在と魂を溶け合わせていくことで得られる安心感や奮起を描きたいのかなと思う。 でもそこで気になってしまうのが主人公が「発達が遅かった」「自閉症と診断されたこともある」というところで、その主人公とボノボ(猿)をシンクロさせるのはわりと危うい気がしてしまって…。 主人公が「この世界の全てに臆病だったから」何をするのも遅かった、歩き出すのも、話すのも、生まれるのも遅かった、と語るんだけど、体が万全であるなら気の持ちようで完全にコントロールできるというのもちょっと個人的には受け入れ難い感覚だなとも思った。 自己の身体を取り戻し解き放つことができて良かったということだとは思うんだけど。 (朗読 大森ゆき)
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