
Anna福
@reads--250309
2025年10月5日

死んでいない者
滝口悠生
読み終わった
また読みたい
通夜の非日常性、故人の思い出に沈むのではなくむしろ滅多に顔を合わせない親族達が一堂に会することで生まれる、一時的で奇妙に生き生きとした空間。
人々の「いまこの瞬間の思考」が語り手を変えながらリレーのように描かれていく事で通夜という場が「生のざわめき」に満ちたものとして立ち上がってくる。皆で銭湯に行く、川辺に立つ、子どもが酒を飲む。そうした動きと語られる思考が通夜という場を生者の交差点に変えていく。
その一瞬の交差が、日常ではありえない濃度で描かれているからこそ、その空間に引き込まれずっと読んでいたくなる。
狭い間口の京都町屋の引き戸を開けたら、そこに映画「インター・ステラー」並みの多次元空間が拡がっていた…感覚が抜けない。
すごく好みの文章だった。この小説をここで知る事ができた。ありがとうございます!







