
くん
@kun
2025年10月5日

立ち読みの歴史
小林昌樹
読み終わった
三宅香帆さんがPage Turnersで紹介していて気になって図書館で借りてみたら面白かった!
メモを取りたいところが多すぎて、メモばかりとっていたらなかなか読み進められずやっと読み終わった。
立ち読みの歴史を語る時、リテラシーとしての識字率が前提になる。
読み書きができなければそもそも本を読めない。
都市部で読み書きできる人が増えて来て、ようやく立ち読みの歴史を紐解く調査がスタート。
立ち読みするためには開架式になったタイミング(江戸時代は閉架式で座売りだった)、開架式になるには平置きからタテ置きするために和本(和装本)から洋本(洋装本)となり、さらに背表紙がつかなければならい…など、江戸から明治、大正にかけてどのタイミングで立ち読みがスタートするのか、近代読書史・書籍流通史、出版社や書店の社史まで使って紐解くところがすごかった。
江戸時代の本の種類や、そもそも雑誌は本屋で売られていなかったという歴史など、現代には残っておらず、本の流通の大きな変化は知らないことばかりだった。
大火や震災、戦争によって消えてしまった様々な歴史や事実を作者が様々な文献や資料、図版から掘り起こしていくのに大変苦労していたところも本文中に正直に書かれていた。
調査の過程は国立国会図書館で15年にわたるレファレンス業務の経験が活かされていた。
巻末の図版出典や、もっと読書史を読みたい読者への推薦図書リストなどを見るとよく分かる。
読書史の推薦図書もかなり読んでみたい本ばかりでした。
丹念な調査から掘り起こした立ち読みの歴史、そして立ち読みがどう変化していこうとしているのか、ぜひ読んでみてほしい。




