ちょこれーと* "平場の月" 2025年10月6日

平場の月
平場の月
朝倉かすみ
久しぶりの読書。 こちらは映画館で観た予告で『大人のラブストーリー』というところ、また、映画verの紫みがかった装丁の美しさに惹かれて読み始めた。 端的に言うと、主人公である青砥の日記を覗き見ているようなお話だと思った。想い出としてサラッと出てきたやり取りが、後からまたこんな場面での会話だったと詳細が明らかになる。前の方のページに戻って確認してまた次のページを読み進める…人生を振り返るような心地の読書体験だった。 当たり前にまた会えるはずだった1年後の約束の日。日常というものがどれだけ儚く脆く崩れやすいものかという尊さを物語る。 人生歩みを進めていれば人に見せたくない面、触れられたくない過去が誰にだってある。自分だけじゃない。そういったものも抱えて生きていくしかない。これから先を生きる為の道標になってくれるようなお話。 結末としては悲恋だけれど、これは平場に暮らす自分たちの現実、それを投影した物語なのだと痛感した。
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