はぐらうり "ただ君に幸あらんことを" 2025年10月6日

ただ君に幸あらんことを
ラランド・ニシダ氏の2冊目の著作。1冊目を読んでいないのだけれど、こんなにクセのない文章を書くんだ、と驚いた。クセというか、本業作家じゃない場合、こちらの先入観もあって文章の違和感が強いことがあるのだが、それがまったくなかった。後ろに著者を感じないで読めるのは凄いことだと思う。 中身は中編が2つ。表題作は目白や高田馬場が舞台で大学や高校の名前にも親近感があり、強く学生時代を思い出す。ひどい母親だと感じるけれど、大人になってもみないとわからないこともある。正解はつくっていくしかないし。 誰かを前にすると恐怖で言葉が出ない、という場面もリアリティがあった。わかるなぁ、という感じ。純文学みもあるけれど背伸びもしていない小説でとても良かった。
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