ただ君に幸あらんことを

22件の記録
- はぐらうり@hagurauri-books2025年10月6日読み終わったラランド・ニシダ氏の2冊目の著作。1冊目を読んでいないのだけれど、こんなにクセのない文章を書くんだ、と驚いた。クセというか、本業作家じゃない場合、こちらの先入観もあって文章の違和感が強いことがあるのだが、それがまったくなかった。後ろに著者を感じないで読めるのは凄いことだと思う。 中身は中編が2つ。表題作は目白や高田馬場が舞台で大学や高校の名前にも親近感があり、強く学生時代を思い出す。ひどい母親だと感じるけれど、大人になってもみないとわからないこともある。正解はつくっていくしかないし。 誰かを前にすると恐怖で言葉が出ない、という場面もリアリティがあった。わかるなぁ、という感じ。純文学みもあるけれど背伸びもしていない小説でとても良かった。
- もん@_mom_n2025年4月15日読み終わった心に残る一節@ 図書館親に敷かれたレールを走って生きてきた自分にとって、表題作はとても苦しかった。 脳の奥底にしまい込んでいた受験期の記憶が呼び起こされて、何度も息を止めた。 でも苦しさの先に救いもあって、ひたすらに兄妹の幸せを祈りながら読んだ。 p.8 黒髪を後ろで束ねおじぎをした私は黒い長方形の固まりになって、乱射されるフラッシュの閃光に幾度も白く塗り潰された。 p.166 掛ける言葉が僕にはなかった。言葉なんかで救えるなどと思えなかった。
- さとお@satoo_01052025年3月4日読み終わったラランド・ニシダさんの2冊目の著書。かつて母から受けていた苦しみを今は妹が受けていると知った兄。学歴や肩書きに異様に執着する母の言動に振り回される兄妹に胸が痛くなる。