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@tabine_sora
2025年10月6日

過疎ビジネス
横山勲
読み終わった
「記事の内容が単なる個人攻撃ではなく公共性を帯びたもので、しかも客観的に真実と認められるなら、その報道は名誉毀損にはならない。仮に記事の内容が真実であるかどうかを法的に証明できなかったとしても、執筆者が入念に裏づけ取材をした確かな状況が認められるのなら、違法性は否定される」
「国見町の救急車リース事業について、わざわざ四日間連続で追及報道の記事を掲載したのには理由があった。河北新報の追及が本気だということを読者に示すことで、続報につながる取材協力者を集めやすくなる。情報は情報に集まるものだと、駆け出しの頃に先輩記者から教わった。とにかく読者を言じて書くことが大事なのだ。
そして期待通り、河北新報社の本社に全国から多くの情報が寄せられた。」
「なぜリスクを承知で取材に協力しようと思ったのか」と聞くと、首をすくめてこう話した。
「国見町の事業に関しては「これってやばいんじゃないの?」と内心思っていたが、私にはどうすることもできなかった。でも、ちゃんと自分の気持ちにけじめをつけたいと思った。あともう一つ、ここまで調べて報道した記者さんに会ってみたかった、というのもありました」
冷静を装って聞いたが、Aの言葉に胸が熱くなったのは言うまでもない。」
「二月初めの初報後、情報提供のタレコミは途切れることなく続いていたが、中にはこちらの取材の動きを探ろうとしているのではないか、と思わざるを得ない人物もいた。
複数回やりとりした後に急に連絡が取れなくなったり、しきりに取材の情報源を尋ねてきたり、いろいろだ。私が口を滑らせたら最後、善意の協力者を危険にさらすことになる。
良い悪いは別にして、タレコミには何かしらの狙いがあるのが常だ。本音は何なのか、その情報を記事にすることで誰が得をし、誰が損をするのか。注意深くならなければ、足をすくわれる。
かといって「こちらからは何一つ言えません」では取材にならないから難しい。
人は秘密を共有した相手を借頼するようにできている。手持ちの情報を少しずつ明かし、相手の持っている情報と擦り合わせていく。嘘はつかないが、とぼけはする。知らない話なのに知ったふりをすることもあるし、知っている情報を初めて知ったようなそぶりで聞き流すこともある。あえて不利になるような自己開示をして同情を誘ってみたり、刺激的な言葉で挑発してみたり。ギリギリの線を見極めながら「私たちだけの秘密」を作れたのなら取材は成功だ」
「地方自治が戦後の憲法で保障されたのには理由がある。戦前の明治憲法には地方自治に関する規定が存在せず、地方行政は中央政府の完全な指揮下にあった。自治体は国の「地方行政機構」と位置づけられ、自治権に大きな制約があった。地方自治には、過度な権力の集中を助き、中央の政策が無批判に遂行される状況を作り出さないようにする役割がある。」
「判決は「組織的に用いるもの」であるかどうかについて「作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において、業務上必要なものとして、利用又は保存されている状態のもの」が該当すると判断している。
例えば、部署内の懇親会日程の打ち合わせなど本来の業務と関係ない情報のみのメールは行政文書として見なされないが、複数の職員が受信して、組織的に対応しなければならない業務上の情報であれば、それはれっきとした行政文書だ。」
