きのくろ "成瀬は天下を取りにいく" 2025年10月6日

きのくろ
@seo1644
2025年10月6日
成瀬は天下を取りにいく
最高か????? 今さら読みましたが、名作はいつ読んでも名作ですよね。と言うわけで、『成瀬は天下を取りに行く』を読みました。 正直、読む前はタイトルから、すげぇ天才少女がぶいぶい言わせながら、スカッとJAPANみたいに痛快活劇やる系かな、って及び腰してました。たまたま、1話目の『ありがとう西武大津店』だけ読む機会があったんですが、成瀬の天下の取りに行き方が、自信満々ではなく、野望でもなく、本当に己が実現したいこと、実行したいことを突き進んでいて、驚きました。 しかもそれが、みんな一度は考えて、でも出来ないよなぁ、や、恥ずかしい、誰もやってないし、と自意識が邪魔して出来ないような事。でもやってみたら意外と出来る道は目の前に用意されてるんだって拍子抜けするぐらいあっさりと実行できてしまう事で。多分実行するより、継続する方が難しいんじゃないかな、なんて事も思ってしまったり。 青春と言い切るには、脱力しているのか、全力なのかわからない。他者の自意識を苛むようで受容してくれる成瀬。でも成瀬も人であり、他者を(島崎の事も大貫の事も)ちゃんと勘定に入れていたり。 おじさん達のどうにも消化できない子供時代でさえ、まるで目の前の霧が晴れていくような、と大言壮語に言い切ってしまえるほど劇的なものはなくても、確かに染み込むように赦され解放される。 そう、解放されるようだった。もっと自由で良いんだ。何かをしてはいけない、事はなくて、もっと世界は単純だし、自分が思ったように動いても実は良いし、意外と誰も責めないし。ちゃんと認めてくれる人もいるし、そうじゃない人は、ただ関心を示さないだけで。多分、きっと誰かが受容してくれる。柔らかく、溶け合うわけではなくて、トランポリンか受け止めるように、卵を割れないように包むように、一つにならなくても、世界は私を受容してくれる。そう優しく思わせてくれる作品でした。続編も読むぞぉ!!!!!!! あと、子供にも早く読んでほしい。ふりがなしっかり振ったジュニア版も何卒よろしくお願いいたします。
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