
emu
@emu___0h1s
2025年10月6日

うるさいこの音の全部
高瀬隼子
読み終わった
言葉にする前に消えてしまう感情たち、人と少しでも関わったり、すれ違う中で自分の本当の気持ちが段々わからなくなる。忘れられる側の人間、相手のこともわかってあげられない、知れ得なくてでもそれ以上知りたくない。人の言動に一喜一憂する自分にもうんざりしていて、でも嫌いになれなくて。
高瀬さんの小説を読むと、心がささくれ立つ感じがする。痛いけど、知っている痛みだから不快じゃない。私も感情を整理する前に、言葉を紡ぐのが苦手で、相手の顔や反応にいちいちアンテナを張って、自分じゃない言葉がすらすら出てきたりする。そうしようと思っているわけじゃないのに、自然にそうなってしまう。確かに私の言葉なのに私じゃない感覚。小説の中の朝陽と私は同じ歳で、境遇も環境も全く違うのに、どこか繋がっている気がする。いろんな私がいるうちの、この作品の中に見つけた小さな1人なのかもしれないなと思った。私の場合、映画やアニメや小説が感情の捌け口になっているからなのかもしれないけど、言葉にするのも難しいけれど、読み終わった後のこのざらざらした質感の感情は大事にしたい。