
にどね
@h_booklog
2025年9月27日

忙しい人のための美術館の歩き方
ちいさな美術館の学芸員
読み終わった
以前読んだ『学芸員しか知らない美術館が楽しくなる話』がとても面白くタメになったので、こちらもかなり楽しみに読みました。
美術館を訪れる人の割合を年代別に調べてみると、30代〜50代の働き世代が美術館へ足を運んでいないことがわかる。
美術館へ行かない理由としては「興味がない」や「見たい展示がない」などがあるが、そのなかのひとつに「時間がない」がある。
しかし、働き方改革により平均労働時間は減少し、余暇時間は増加している。
果たして本当に「時間がない」のだろうか。
働き世代がいちばん美術館へ足を運ばないのに、アートや美術を冠したビジネス本が続々と刊行されている矛盾。(今や美術はビジネスマンに必須の教養なのだそう)
「すぐ分かる」系書籍やYouTubeなどの解説動画などで「待つ」ということへの耐性がどんどん低下し、一定の時間の中でどれだけ効率よく行動できるかというタイパ志向が浸透。
短尺動画や音声メディアが量産され、空き時間に常に「何かしている」と満たされるタイパ意識。
その受動的なタイパ志向により、自発的な行動のハードルが上がってしまうという弊害。
等々…
「時間がない」を深掘り・分析することで見えてくるコスパ・タイパの呪縛にただただ頷くばかり。
読書家の方たちはおそらくタイパ志向はそこまで強くないのでは?と勝手に思っているのだけれど(ちなみにわたしは観てると疲れるのでほとんどYouTube観ません)、どんどんタイパ志向が強まる現代人に危機感を感じてしまう。
上記以外にも美術館の変遷や、現代の美術館の新たな取り組み、美術館での鑑賞の仕方のアドバイスなどが書かれていて、読みやすいのに読み応え抜群の今回も素晴らしい一冊でした。

